女優としての地位を盤石なものとしたのが、1995年公開の映画『南京の基督』での熱演だ。芥川龍之介の原作に挑み、劇中での大胆かつ繊細な感情表現は国内外で高く評価され、第8回東京国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した。体あたりの演技で新境地を開いたこの作品は、彼女のキャリアにおける大きな転換点となった。
こうした挑戦を長年支え続けてきたのが、所属事務所であるアミューズだ。大手芸能プロダクションとしての手厚いバックアップと、俳優の自主性を重んじる環境の中で、富田靖子は息の長い女優活動を継続。確かな演技派としてのブランディングを確固たるものにしていった。