袴の下に着る着物を選ぶ際、最も議論となるのが「振袖」と「二尺袖(小振袖)」の袖丈の違い、そしてそれらを組み合わせた際のシルエットのバランスです。
伝統的な未婚女性の礼装である振袖は、袖の長さによって「大振袖(本振袖:袖丈約114cm前後)」「中振袖(袖丈約100cm前後)」「小振袖(二尺袖:袖丈約76cm前後)」に分類されます。成人式で一般的に仕立てられるのは豪華絢爛な中振袖ですが、卒業式の袴スタイルで最も多くレンタル・着用されているのは「二尺袖」です。
袖丈が約76cmと短めに作られている二尺袖は、袴を合わせた際に全体の重心が上がり、軽快で若々しい印象を与えます。袖が床や地面に触れにくいため、式典会場での着席、階段の上り下り、謝恩会での食事など、動作が非常にスムーズになるという実用面での絶大なメリットがあります。
一方、成人式のために仕立てた手持ちの振袖(中振袖)を袴の下に合わせる着こなしも根強い人気を誇ります。袖が長い分、歩くたびに流麗なドレープが生まれ、圧倒的な重厚感と気品を醸し出します。ただし、袖底が足元近くまで垂れるため、歩行時や階段昇降時に裾を踏んでしまわないよう、袖を腕に掛けるなどの所作への配慮が不可欠です。
そして、着物と袴を美しく一体化させる要となるのが「半幅帯(はんはばおび)」の結び方です。一般的な着物では幅約30cmの袋帯や名古屋帯を使い、お太鼓結びなどを作りますが、袴を着用する際は幅約15cm〜17cmの「半幅帯」を用います。袴の帯結びでは、背中の中心に帯留めとなるしっかりとした土台を作る「一文字結び(いちもんじむすび)」が基本です。帯の上部を1〜2cmほど袴の上から覗かせることで、着物と袴の色の境界を引き締め、視覚的なアクセントを生み出す高度な着付け技術が用いられます。