一方で、SNSやネット掲示板(知恵袋や5ちゃんねる等)を精査すると、「あの人の笑顔はどこか嘘くさい」「口角は上がっているのに冷たく感じる」といったネガティブな言説も散見されます。なぜ好印象をもたらすはずの口元が、時に拒絶感を生んでしまうのでしょうか。口角が上がっている人が不自然に見える理由には、脳が察知する「違和感のメカニズム」が存在します。
その筆頭が、19世紀の神経学者ギヨーム・デュシェンヌが提唱した「デュシェンヌ・スマイル」と「非デュシェンヌ・スマイル(社交辞令の作り笑顔)」の落差です。人間の脳は、本物の笑顔を見分ける際、口角だけでなく「目元の眼輪筋の収縮」を同時にチェックしています。目元が無表情で冷徹な光を帯びたまま、口角だけが吊り上がっている状態を目の当たりにすると、脳の扁桃体は「この人物は本心を隠して迎合している」「何か裏があるのではないか」と警戒警報を鳴らし、いわゆる「不気味の谷」現象が生じるのです。
また、対人関係における「過剰適応」の心理も見過ごせません。常に口角を上げ続けようと必死になるあまり、怒るべき場面や真剣に悲しむべき場面でも張り付いた笑顔を崩せない人は、周囲から「本音が読めない」「仮面を被っている」と距離を置かれてしまうリスクを孕んでいます。