多くの人が抱く「総務省消防庁が全国の消防署に命令を出している」というイメージは、法的には明確な誤解です。消防組織法第36条により、総務省消防庁長官と市町村長・消防長との関係は「技術的助言・勧告」にとどまり、平常時の消火活動や人事権に直接介入することはできません。
しかし、阪神・淡路大震災の教訓から法改正が行われ、大規模災害時における「緊急消防援助隊の出動指示」については、消防庁長官が自治体に対して直接指示を出せる例外規定が新設されました。「地方分権の独立性を保ちつつ、国家的大災害時には強力な調整役を果たす」という絶妙なバランスの上に日本の防災行政は成り立っています。