広島の高校野球界といえば、長年にわたり広陵と広島商業という二大巨頭が君臨してきた。圧倒的なスカウト力と潤沢な設備を誇る私立強豪校の壁は厚く、公立校が甲子園への扉を開くことは至難の業とされてきた。しかし、その常識を根底から覆したのが市立福山だ。
進学校としての顔を持つ同校では、練習時間に厳しい制限が課されている。平日のグラウンド使用時間はわずか2時間程度。その限られた時間の中で、選手たちは一球一球に意図を持たせ、効率を極限まで高めた練習メニューを自ら構築してきた。「量ではなく質で勝負する」。この徹底した割り切りが、強豪私立に勝る集中力を研ぎ澄ませたのだ。