「調理中の油はね程度で失明することなどあるのか」と疑問を抱く人もいるかもしれません。結論から言えば、飛び散った油の温度・量・侵入部位によっては重篤な後遺症や視力障害(最悪の場合は失明)に至るリスクが十分に存在します。
一般的な揚げ油の温度は160〜180℃に達します。このような超高温の油滴が眼球の表面に付着すると、瞬時に「角膜熱傷(かくまくねっしょう)」や「結膜熱傷」を引き起こします。皮膚の火傷と同じ現象が、極めて繊細な目の組織で発生するわけです。
【角膜熱傷で現れる主な症状】
・目が激しく痛み、涙が止まらない
・白目が真っ赤に充血する
・光を浴びると異常に眩しく感じる(羞明)
・視界が白く濁る、全体がぼやけて見える
・異物感が消えず、目を開けていられない
角膜の表面にある上皮細胞だけでなく、その深部にある実質層まで熱が到達すると、治癒した後も角膜に白い濁り(角膜混濁)が残ってしまい、恒久的な視力低下を招くことがあります。また、傷口から緑膿菌などの細菌が侵入すると、角膜が融解する角膜穿孔へ進行する恐れもあるため、決して軽傷と侮ってはなりません。