ネット上の情報や一般的な天気解説において蔓延している最大の誤解は、「山梨県東部(大月・都留)の天気は八王子や甲府とほぼ同じである」という思い込みです。実際には、大月市は「関東平野の気候」と「甲府盆地の中央高地式気候」のどちらにも属さない、独自の狭小な移行帯気候を有しています。
ネット掲示板や知恵袋などで散見される「曇り予報だから傘はいらない」「甲府が晴れているから大月も大丈夫」というアドバイスを鵜呑みにするのは極めて危険です。なぜなら、八王子方面から吹き込む東風と、甲府方面から吹き下ろす冷涼な西風が大月上空で衝突(シアーラインを形成)すると、雲量が急速に増大して局地的な雨雲の巣となるからです。
また、「雨雲レーダーに何も映っていないから安全」という認識も現代のハイテクトラップと言えます。レーダーは上空の降水粒子を観測して投影しているため、地面近くで急激に凝結して発生する「層雲」や、山肌を駆け上がる初期段階の上昇気流を検知するまでには数分から十分程度のタイムラグが生じます。レーダー画像で薄い青色のエコーが点灯した瞬間には、地上ではすでに本降りの雨が始まっていることを理解しておかなければなりません。