丸干しを扱う上で、店頭の名称や魚種に関して多くの消費者が混同しがちな重要事実を紐解きます。
「丸干し」と「めざし」の決定的な違い
店頭で同じように並ぶ「丸干し」と「めざし(目刺し)」。両者を別種の干物だと思っている方も多いですが、加工形態の違いに過ぎません。下処理をせず丸ごと干した状態の総称が「丸干し」であり、その乾燥工程において、複数の魚の目から下アゴへ藁(わら)や竹串、ステンレス針金を通して束ねて干したものを「めざし」と呼びます。かつては均一に風を通し、一度に大量に乾燥・運搬するための生活の知恵でした。基本的に味や栄養素に本質的な差異はありませんが、めざしの方が乾燥度が高くやや硬めに仕上がっている傾向があります。
魚種による個性の違い|ウルメイワシとカタクチイワシ
丸干しに使われるイワシは主に3種類あり、どれを選ぶかによって味わいは一変します。
- ウルメイワシ(目が潤んでいるように見える大ぶりの種):脂肪分が生イワシ(マイワシ)より少なく、淡白で上品な旨味が特徴。身がふっくらとしており、苦味も穏やかであるため、丸干し初心者や子どものおかずに最も適しています。
- カタクチイワシ(別名セグロ、出汁用の煮干しにも使われる小型種):旨味成分と同時に特有のほろ苦さとコクが凝縮されています。内臓の風味も含めた「大人の味わい」を楽しみたい酒徒に強く支持されます。
- マイワシ(体側に黒い斑点がある種):脂乗りが非常に豊かで、焼くとジューシーな脂が滴ります。濃厚なコクを求めるスタミナ重視の食事に向いています。