ネット上の情報空間には、ファストフードチェーンのライセンスビジネスに対する誤解や短絡的な推測が少なくありません。ここからは、業界構造の裏側にある「見落とされがちなハードル」を紐解いていきます。
まず最大の誤解は、「人気があって売れたコラボなら、翌年や翌々年にすぐ再開催できるはずだ」という思い込みです。日本マクドナルドのようなナショナルブランドにおける年間プロモーション枠は、数年前から年密に組まれています。春のてりたま、秋の月見、冬のグラコロといった盤石の季節定番に加え、ポケットモンスター、名探偵コナン、サンリオ、ONE PIECEといった超大型IPが限られた「期間限定コラボ枠」を激しく奪い合っています。
さらに、アニメーション制作会社や版権元(創通・サンライズ・バンダイナムコフィルムワークス)側の戦略的タイミングも厳密に絡みます。ガンダム側としては、劇場版の公開、地上波アニメの放映、あるいは大型ゲームや立体物の発売といった「自社の事業推進マイルストーン」に合わせてコラボの波状効果を最大化したい思惑があります。単にマクドナルド側が「売りたいから」という理由だけで成立するビジネスではないのです。
また、「マック ハッピーセット ガンダム」の実現を期待する声も根強く存在しますが、ここには対象年齢と安全基準という高い壁が存在します。ハッピーセットの玩具は幼児から小学校低学年を主対象としており、誤飲を防ぐための極めて厳格なサイズ制限や角の丸み、耐久性テストが義務付けられています。本格的なガンプラの精密なパーツ構成や尖ったアンテナをそのままハッピーセットに落とし込むことは製造安全基準上極めて困難であり、実現するとしても「組み立て済み簡易フィギュア」や「アーケードカード(機動戦士ガンダム アーセナルベース等)」に限定されるのが現実的な落としどころとなります。