地上波放送の見合わせ、そして画面に突如現れた優雅なボートの風景。通称「Nice boat.」と呼ばれるこの事件は、日本のアニメーション産業における自主規制とメディアリテラシーのあり方を根底から覆した。
表現の限界に挑みすぎた結果として生じた放送中止の波紋は、皮肉にもインターネットカルチャー黎明期のミームとして世界中へ拡散された。タブーに触れることを恐れ、無難な表現へと舵を切りがちだった業界全体に対し、この作品が投げかけた波紋は計り知れない。自らを傷つけるほどの鋭利な作家性が、現代のコンテンツ界隈においてどれほど希少であるかを、この出来事は今も無言で語りかけている。