愛犬を我が子のように慈しむ感情は素晴らしいものですが、過剰な擬人化によって「常に人間の赤ちゃんと同じように抱っこして歩く」ライフスタイルには、家族社会学的・心理学的なリスクが潜んでいます。心理学でいう「共依存関係」や「心理的バウンダリー(境界線)の曖昧化」がペットと飼い主の間で発生すると、犬は地面を歩く本来の行動機会を奪われ、分離不安症や過度な警戒吠えを発症しやすくなります。
抱っこはあくまで「危険回避(交通量の多い道路や段差)」「身体ケア」「医療的移動」のための手段であり、四肢を使って大地を踏みしめさせることこそが、犬のメンタルヘルスと筋骨格系の維持には不可欠です。
【抱っこ支援グッズ(スリング・キャリー)が向いている人】
・自力歩行が困難になったシニア犬の介護や通院を日常的に行う飼い主
・人混みや災害時の避難において、両手を空けて安全を確保する必要がある状況
・底板が硬く、愛犬の背骨が水平に保たれる構造のドッグスリングを選定できる人
【無理な抱っこを慎重に避けるべき人・犬】
・底が柔らかく身体が丸まって「くの字」に折れ曲がる布スリングを多用している人(ヘルニア悪化の温床)
・歩行機能に問題がない成犬を、運動不足解消や外気浴と称して長時間抱き抱えたまま散歩している人
・抱き上げようとすると唸りや歯を当てる威嚇を見せる犬(行動診療科や整形外科医の診察が先決)
愛犬の身体を道具として扱うのではなく、独立した尊厳ある生命体として尊重すること。その第一歩こそが、骨格に負担をかけない「理にかなった抱き方」の実践に他なりません。