健診票に「動脈硬化」の文字を見つけたとき、最初に直面する壁が「一体、病院の何科を受診すればよいのか」という迷いです。日常のかかりつけ医がいる場合は別として、総合病院やクリニックを探す際には動脈硬化の専門診療科である「循環器内科」を第一選択にするのが医学的な正攻法です。脂質異常症や高血圧のコントロールが主たる原因である場合は、生活習慣病に注力している「一般内科」や「代謝・内分泌内科」でも適切な初期診療を受けられます。
いざ医療機関を訪れる際、受診者が最も不安を感じる「循環器内科の初診の流れ」は極めてシステマチックに設計されています。問診票の記入後、まずは血圧測定と詳細な血液検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、血糖値、HbA1c、hs-CRPなど)が実施されます。続いて安静時心電図検査や、両手両足の血圧を同時に測って血管の硬さと詰まり具合を調べる「ABI/CAVI検査(足関節上腕血圧比/心臓足首血管指数)」へと進むのが一般的です。
ここで知っておくべき決定的な落とし穴は、動脈硬化の初期症状には痛覚や違和感が一切存在しないという生理学的事実です。血管の内膜にコレステロールが沈着してコブ(粥腫=プラーク)が形成されるプロセスにおいて、血管壁は外側へと広がろうとする性質(代償性拡大)を持っています。そのため、血流が物理的に遮断され胸痛や手足のしびれといった自覚症状が出現した段階では、すでに病態が危機的領域まで進行している危険性が極めて高いのです。