このテストは、英国の研究者サイモン・バロン=コーエン(Simon Baron-Cohen)らが1985年に発表した実験で用いられたものです。保育園や療育現場では、パペット人形や紙芝居、あるいはサリーとアンの課題 イラスト教材を使って子どもたちに提示されます。ストーリーの構成は非常に明快です。
部屋の中に「サリー」と「アン」という2人の女の子がいます。サリーは「カゴ」を、アンは「ハコ(箱)」を持っています。まず、サリーが自分のお気に入りのビー玉をカゴの中に入れ、フタをしてから部屋を出ていきます。サリーがいなくなった後、アンはカゴからビー玉を取り出し、自分のハコの中へと隠してフタを閉めました。しばらくして、何も知らないサリーが部屋に戻ってきます。ここで実験者は、被験者の子どもに対して次のように尋ねます。
「サリーはビー玉を取り出そうとして、最初にどこを探すでしょうか?」
この問いに対するサリーとアン課題 答えは、「カゴの中」です。なぜなら、サリーはアンがビー玉を移し替えた事実を見ていないため、「ビー玉はまだ自分が最初に入れたカゴの中にあるはずだ」と思い込んでいる(=誤った信念を抱いている)からです。
大人の視点から見れば一見して当たり前のように思えるこの問いですが、3歳頃までの幼児に尋ねると、驚くほど自信満々に「ハコの中!」と答えます。自分が目撃した「現在の真実(ハコの中)」と、「他者が持っている知識(カゴの中にあるという思い込み)」を頭の中で分離して処理できないためです。心理学において、この「他人の誤った思い込みを理解する力」を測定するテストは誤信念課題と呼ばれています。