極真空手の世界王者という輝かしいバックボーンを持つ兄の背中を、弟はずっと一番近くで見つめてきた。日本映画界に強烈なインパクトを残し、日本アカデミー賞でも高い評価を獲得した映画『春に散る』。あの鬼気迫るボクシングシーンの肉体改造や過酷なトレーニングの日々を、弟はリスペクトの眼差しで見守っていた。
かつて少年時代、道場で汗を流す兄の練習相手を務め、誰よりもその努力の総量を知っている弟だからこそ、画面越しに伝わる本物の迫力に胸を熱くしたに違いない。二人の間には、言葉を多く交わさずとも通じ合える、アスリート同士のような深い共鳴が存在する。