猫は犬と異なり、日常的に開口呼吸(口を開けて息をすること)を行いません。猫が口を開けて呼吸をしている、あるいは胸だけでなくお腹を大きくペコペコと波打たせて呼吸している状態は、すでに肺水腫の末期症状に近い危機的シグナルです。
重篤化する前に察知するためには、ごく初期に現れるわずかな予兆を見逃さない観察眼が求められます。普段よりも動きたがらない、キャットタワーに登らなくなる、食欲が急に落ちるといった漠然とした不調から始まり、やがて「香箱座りの姿勢のまま首を長く伸ばして動かない」「横になって眠れない」といった起座呼吸の姿勢へと移行します。
最も客観的で信頼性の高い指標は、睡眠時・安静時の呼吸数(SRR: Sleeping Respiratory Rate)です。健康な猫の安静時呼吸数は1分間に15〜30回程度ですが、これが1分間に35〜40回を超えて増加傾向にある場合、肺水腫の初期段階または再発の初期兆候として警戒する必要があります。