シティタワー品川の驚異的な安さを生み出した根源は、敷地の成り立ちと権利形態にあります。このマンションが建つ敷地は、民間デベロッパーが市場から高値で買い取った土地ではなく、東京都が保有していた「都有地」です。
当時、東京都は都有地の有効活用と、都心部におけるファミリー層向け優良住宅の安定供給を目的とした公募コンペを実施しました。このコンペを勝ち抜いたのが大手デベロッパーの住友不動産です。プロジェクトの根幹に据えられたのが、土地を完全に買い取るのではなく、期間を区切って土地を借りる「一般定期借地権」の採用でした。
一般的な所有権マンションを購入する場合、購入者は建物だけでなく敷地の共有持分(土地代)を買い取ります。特に地価が突出して高い港区では、物件価格に占める土地代の割合が5割から6割に達することも珍しくありません。しかし、シティタワー品川の定期借地権スキームでは、土地の購入費用が一切発生せず、販売価格に転嫁されたのは純粋な建築費(建物代)とデベロッパーの諸経費・適正利潤のみでした。
さらに、都有地を活用した公共性の高い住宅施策であったため、東京都側からも分譲価格を低廉に抑えるよう強い指導が入っていました。つまり、土地代がゼロベースである点と、行政による価格抑制という2つのレバーが同時に作動した結果、市場価格を完全に破壊する価格設定が現実のものとなったのです。