そもそも、なぜ築年数の古い物件にはアース端子が備わっていないのだろうか。背景には日本の住宅建設史における基準の変遷がある。かつてはエアコンや特定の大型機器を除き、すべてのコンセントへのアース設置が義務化されていなかった時代が長く続いたのだ。
しかし、家電・住宅設備産業が急速に高度化し、高出力な電子レンジや温水洗浄便座が一般家庭へ普及するにつれて風向きは一変した。電気業界が一丸となって推進した「内線規程適合改定プロジェクト」などの取り組みにより、近年の新築住宅では水回りコンセントへの接地端子設置が完全義務化されるに至っている。古い建物のストックが残る現在の日本社会において、新旧基準の狭間にある住宅をいかに安全にアップデートするかが今なお問われている。