石塚裕惺という名前が全国のスカウトの注目の的となったのは、埼玉の名門・花咲徳栄高校での目覚ましい成長でした。1年秋から定位置を掴み、主軸として高校通算26本塁打を記録。しかし、プロのスカウト陣が最も衝撃を受けたのは本塁打の数そのものではなく、その「打撃フォームの再現性」と「内角球の捌き方」でした。
花咲徳栄の岩井隆監督による厳しい指導のもと、石塚は徹底して下半身を使ったスイングを叩き込まれました。体格に頼った力任せのスイングではなく、トップの位置が深く、インパクトの瞬間までグリップが身体の近くを通るため、木製バットに持ち替えてもスイングスピードが全く落ちない特徴を持っています。
その資質が国際舞台で証明されたのが、高校3年生の夏に出場した「第13回 BFA U-18アジア選手権」です。侍ジャパンU-18高校日本代表の4番打者として起用された石塚は、各国の好投手を相手に打率.474(19打数9安打)、7打点と打ちまくり、大会ベストナイン(三塁手部門)を獲得。初めて手にする木製バットで逆方向へ長打を連発する姿を見た読売ジャイアンツの水野雄仁スカウト部長(当時)らは、「高校生野手の中では頭二つ抜けている。右打の大型内野手として球界を代表する存在になれる」と最上級の評価を下しました。この圧倒的な適応力こそが、ドラフト1位競合を引き寄せた最大の要因でした。