現代において、ふいごの機能美が最も生かされている現場がキャンプの焚き火や薪ストーブです。多くのアウトドア愛好家が携行する「火吹き棒(ピンポイントノズル)」と「手動式ふいご(アコーディオンタイプ・ポータブルベローズ)」には、明確な構造的・実用的な差が存在します。
火吹き棒は、狙ったピンポイントの熾火に高速の気流を当てることには長けていますが、「吹き手の呼気に含まれる水分(水蒸気)」が同時に送り込まれるという構造的弱点があります。また、長時間の使用は酸欠や立ちくらみを引き起こしやすく、灰を勢いよく巻き上げてテントや衣服に火の粉を飛ばしてしまうリスクも否定できません。
一方、木製プレートと革(または高耐久合皮)で作られた手動ふいごは、常温の乾燥した外気を大量に面で送り込むことが可能です。ポンピングの回数や速度を手の力加減で微調整できるため、灰を舞い散らせることなく、弱まった炭火全体を均一に熾火へと復活させる圧倒的な扱いやすさを発揮します。