金融機関の窓口で、PTA会長や同窓会の会計幹事が「申し訳ございませんが、当行の規定により今回はお申し込みをお受けできません」と告げられる光景が日常化しています。報道各社の金融取材や全国銀行協会の関係者の証言によると、この背景には国際組織であるFATF(金融活動作業部会)による対日相互審査以降、金融庁が主導してきた「マネー・ロンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」の徹底があります。
株式会社や一般社団法人のような法人であれば、法務局に登記された「登記事項証明書」によって代表権や本拠地、事業目的が公的に担保されます。しかし、法人格を持たない任意団体は、誰でもペーパー上で団体を立ち上げることが可能です。実態のない幽霊サークルや架空の親睦会を装い、開設した口座が匿名・流動型犯罪グループ(いわゆるトクリュウ)による特殊詐欺の振込先やヤミ金の集金口座として悪用・売買される事案が急増した結果、警察庁および金融庁から金融各行へ極めて強いスクリーニング要請が出されているのです。
こうした事情から、各行の任意団体の口座開設審査基準は劇的に跳ね上がりました。現在の審査では、単に書類が揃っているかだけでなく、「その団体が地域社会やコミュニティで本当に活動しているのか」「資金の流れが代表者個人の懐と明確に峻別されているか」という組織の実態性が冷徹にチェックされます。