まだ星が瞬く深夜、店の厨房には明かりが灯る。ぼたもち作りは時間との戦いだ。保存料を一切使用しないため、その日に売る分はその日の朝にしか作らない。これが鉄則だ。
命とも言える「もち米」は、地元佐賀県産を中心に厳選されたものを使用。絶妙な力加減で半づき(粒が残る程度に潰すこと)にされた餅は、驚くほど柔らかく、かつ心地よい弾力を残す。それを包み込む餡は、北海道産の小豆をじっくりと炊き上げたもの。職人の長年の勘が、その日の気温や湿度に合わせて火加減を微調整する。この繊細な作業こそが、他では真似できない唯一無二の食感を生み出すのだ。