この根拠のない閉店騒動の直接的な震源地となったのは、2019年5月に岐阜県大垣市で起きた「株式会社金蝶堂総本家」の自己破産です。当時、寛政10年(1798年)創業という220年以上の歴史を誇る老舗の倒産は、帝国データバンクなどの信用調査機関や全国紙・NHKニュース等で大きく報じられ、東海地方の経済界に凄まじい激震を走らせました。
大垣の「金蝶堂総本家」は、名物の水まんじゅうや金蝶饅頭で全国区の知名度を誇っていましたが、消費の低迷や工場の設備投資負担、過大な借入金が重荷となり、岐阜地裁大垣支部へ破産を申請しました。このニュースが広く拡散される過程で、一部のネットユーザーやまとめサイトが「金蝶堂」という屋号のみを断片的に記憶し、岐阜県美濃加茂市にある独立店舗「みのかも金蝶堂」と混同してしまったのです。
岐阜県内には「金蝶」の屋号を持つ和菓子店が複数存在しますが、美濃加茂市の「みのかも金蝶堂」と大垣市の「旧・金蝶堂総本家」は、資本関係も経営母体も一切異なる完全に別組織です。しかし、検索アルゴリズムが「岐阜」「金蝶堂」「倒産」「破産」といった単語を機械的に関連付けた結果、「みのかも金蝶堂も潰れたのではないか」という根拠のない誤解が雪だるま式に膨らんでいきました。