チェンマイの市場を歩けば、必ず立ち込める香ばしい煙に足を止められる。その発生源こそが「サイウア」——ハーブを贅沢に練り込んだチェンマイソーセージだ。豚ひき肉にレッドカレーペースト、バイマックルー(こぶみかんの葉)、レモングラス、ガランガル、唐辛子をこれでもかと詰め込み、炭火でじっくりと焼き上げる。
皮が弾けた瞬間に溢れ出すジューシーな肉汁と、鼻腔を直撃するハーブの鮮度。ビールのアテにはもちろん、蒸したてのもち米(カオニャオ)と一緒に手で頬張るのがローカル流の至福。観光客向けの洗練されたレストランで上品に盛られたものも悪くないが、市場の網の上で脂を滴らせている一本を紙袋越しに齧り付く体験には到底かなわない。