日本国内に目を向けると、対応は一見穏やかだ。だが、過剰予約という本質は変わらない。
全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)をはじめとする国内主要キャリアでは、「フレックストラベラー制度」が整備されている。過剰予約が発生した際、ゲート付近で「所定の協力金と後続便への振り替えに応じていただけるお客様はいらっしゃいませんか」というアナウンスが流れる。これだ。
国土交通省の指導指針に基づき、自主的な協力を申し出た乗客には1万円相当(翌日以降の振替や長距離移動の場合は2万円相当と宿泊費など)の協力金、またはマイルが付与される。日本の現場では、怒号が飛び交う前に「金銭による合意」を取り付けるシステムが機能しているため、欧米のような凄惨な強制排除は表面化しにくい。だが、時間通りに目的地へ着く権利を金で買い戻している構図に変わりはない。