かつて一部の研究者が、地震雲の発生メカニズムとして「岩石破壊に伴う電磁波照射説」を提唱した時期があった。岩盤に巨大な圧力がかかることで微弱な電磁波が発生し、それが大気中のエアロゾルやイオンに影響を与えて水蒸気の凝結を促すという説だ。
確かに、電離層の電子密度異常など、地殻変動が超高層大気に何らかの影響を与える可能性自体は完全には否定されていない。しかし、それが地表近くの対流圏で視認できるレベルの「特定の形状を持った雲」を形作ることができるかとなると、話は別だ。風や気流の乱れが存在する大気中で、電磁波の作用だけで特定の直線の形や波紋の形を固定し続けることは流体力学的にあり得ない。
多くの検証実験やシミュレーションが試みられたものの、再現性のあるデータを提示できた研究は皆無であり、現在では学術的な主流から完全に外れている。