日本国内で人間を標的にする蚊は、主に3つのグループに分類される。衛生害虫学の知見や日本衛生動物学会の学術誌が掲載されるJ-STAGEの論文データを照らし合わせると、種によって活動パターンだけでなく生存期間も大きく異なることがわかる。
昼間に屋外の草むらや公園で活発に吸血する「ヒトスジシマカ(通称ヤブカ)」は、成虫のメスで約30日から40日生きる。気温25度から30度前後の環境で最も活発に活動し、秋口に気温が低下すると成虫は死滅し、卵の状態で冬を越す。
一方、夜間に家屋へ侵入して寝ている人間を狙う「アカイエカ」のメスは、活動期であれば1カ月前後の寿命だが、後述するように休眠状態に入ると半年近く生存する。さらに、ビルや地下鉄の湧水槽など都市の地下空間に適応した「チカイエカ」は、吸血しなくても初回の産卵が可能という特異な性質を持ち、一定の室温が保たれた人工環境下で季節を問わず数週間から1カ月以上のサイクルで世代交代を繰り返す。