チケットを手にした観客が最も一喜一憂するのが、「アリーナ指定席か、スタンド指定席か」という分水嶺です。一般的にアリーナ席は「演者と近くて当たり」、スタンド席は「遠くて外れ」と捉えられがちですが、大阪城ホールにおいてはこの直感が大きな誤算を生む原因となります。
アリーナ指定席の最大の落とし穴は、フロア全体に一切の傾斜(段差)が存在しないフラット構造である点です。前列から中列(およそ1列目〜30列目付近)であれば圧倒的な近さと臨場感を享受できますが、40列目以降の後方ブロックになると、前方に並ぶ数百人分の頭や掲げられたペンライト・うちわによって視界が完全に遮られます。特に身長が高くない観客の場合、「2時間半の公演中、肉眼では演者の頭頂部すら見えず、結局頭上の大型モニターを見上げ続けるしかなかった」という切実な声が絶えません。
一方、スタンド指定席の評判を支えているのは、すり鉢状に設計された計算された傾斜角です。各列にしっかりとした段差が設けられているため、前の席の観客の座高に視界を邪魔されることが構造上ほとんどありません。アーティストの細かな表情まで肉眼で捉えるには双眼鏡が必須となるものの、「セットの全貌、レーザーやプロジェクションマッピング、照明演出、観客席の光のウェーブまで含めた総合芸術としてステージを堪能できる」という点において、スタンド席をあえて最良の選択肢として評価するリピーターも多数存在します。