彼の代表作を語る上で絶対に外せないのが『ルパン三世』だ。原作者のモンキー・パンチが描く原作漫画の主人公は、よりクールで冷酷な面も併せ持つハードボイルドな大盗賊だった。しかし、彼が声を吹き込んだことで、コミカルさと格好良さが絶妙に同居する魅力的なキャラクターへと進化を遂げた。
宮崎駿監督が手掛けた名作映画『ルパン三世 カリオストロの城』で見せた哀愁漂う演技は、今なお語り草だ。「奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」という銭形警部の名ゼリフに続く、去り際のルパンの余韻。コミカルな逃走劇の中に覗かせる大人の包容力と男の美学を、完璧な温度感で表現してみせた。