月収70万円を稼ぎ出す労働者が毎月受け取る現実の振込額は、手取り約51万円の内訳を精査することで初めて浮き彫りになります。額面の約27%にあたる約18万8,000円〜19万円が、本人の意思とは無関係に自動天引きされています。
この差額を構成する最大の要素が社会保険料の計算です。東京都内の企業に勤務する40歳未満の会社員(協会けんぽ加入)をモデルとした場合、健康保険料は約3万5,400円(標準報酬月額71万円に基づく折半額)、厚生年金保険料は上限である32等級(標準報酬月額65万円)が適用されて5万9,475円、さらに雇用保険料(0.6%)の4,200円が加わり、社会保険料だけで毎月約9万9,000円が差し引かれます。
さらに追い打ちをかけるのが、所得税と住民税の控除額です。社会保険料控除後の課税対象額に対して源泉徴収される所得税が約4万6,000円、前年の所得に基づいて課税される住民税が毎月約4万3,000円計上され、税金負担だけで約8万9,000円に達します。月収70万円という高水準であっても、口座に振り込まれる金額が「50万円台前半」にとどまる理由は、この累進課税と手厚い社会保険料負担のダブルパンチにあるのです。