議論を整理する上で不可欠なのが、国が管轄する高等学校等就学支援金制度の仕組みと、各自治体独自の上乗せ政策の違いを正確に把握することです。国の就学支援金は、全国一律で支給される公的な支援ですが、明確な所得基準が設けられています。
国の基準では、高校無償化の世帯年収基準はおよそ910万円未満(両親のうち一方が働き、高校生1人、中学生1人のモデル世帯)とされており、私立高校生に対しては年額最大39万6,000円が支給されます。年収がこれを超える世帯は支援の対象外となり、全額自己負担を強いられます。
この国の一律基準を大きく塗り替えたのが、大都市圏の独自政策です。私立高校無償化の東京都の対象条件では、都内在住者を対象に所得制限を完全に撤廃し、国の支援金と都の助成金を合算して私立高校授業料の平均額(年額約48万円前後)まで実質無償化しています。さらに私立高校無償化を推進する大阪府の完全無償化においては、2026年現在、所得制限のない段階的支援が全学年に適用され、府外通学やキャップ制導入による授業料完全カバーなど、全国で最も踏み込んだ制度設計を敷いています。
国が設定した「セーフティネット」としての就学支援金に対し、メガ自治体は「子育て支援・人口誘致」の武器として財源を投入しているため、自治体ごとの教育費格差は広がる一方です。この財政力の差が、納税者全体の公平感を大きく揺るがす火種となっています。