本作の最大のハイライトは、ザ・ローリング・ストーンズの代表曲『悪魔を憐れむ歌』がスタジオでゼロから組み上げられていくプロセスを克明に記録している点にある。ロンドンのオリンピック・スタジオに持ち込まれた初期のデモテープ段階では、この曲は穏やかなアコースティック・フォーク調のナンバーに過ぎなかった。
カメラは静かにその変貌を追い続ける。テンポが引き上げられ、パーカッションのサンバ・リズムが加わり、あの悪魔的なウードゥー・ビートへと変化していく。フロントマンであるミック・ジャガーの鋭いシャウト、そしてキース・リチャーズの切り裂くようなギターフレーズが重なる瞬間、スタジオの空気は完全に変質した。名曲が生まれるまさにその瞬間に立ち会える体験こそ、世界中のリスナーを狂喜させた真の理由だ。