カービィの世界における「悪」の描写は、時に凄惨を極める。『星のカービィ3』のラスボスである「ゼロ」は、巨大な赤い目玉から血のような液体を撒き散らし、最終形態では自らの眼球を破裂させて襲いかかってくる。CEROのレーティング基準が甘かった時代とはいえ、幼少期のプレイヤーにトラウマを植え付けたこの演出は、意図的な表現なのだろうか。
近年の研究で最も注目されているのが、『星のカービィ スターアライズ』に登場した破壊神「ニル」の存在だ。ニルは形態を変化させる過程で、カービィとまったく同じ笑顔を見せる。設定資料やソウル系の裏説明文を解読すると、衝撃的な仮説に行き着く。ニルとは、集まる感情(ポジティブかネガティブか)によって神にも悪魔にも変貌する原初の存在であり、カービィ自身もまた「優しさと正のエネルギーによって生まれたニルと同種の存在」なのではないかという説だ。
闇の物質ダークマター族は、感情を持たないがゆえに仲間と幸福を求め、それが叶わずに狂気に走った哀しい存在とされる。光と闇、希望と絶望は同じコインの裏表に過ぎない。この重厚かつ救いのないテーマ性が、ファンシーな画面の裏に潜んでいる。