箸を取る前に、この空間が刻んできた時間に思いを馳せたい。中核をなす「安里家住宅」は、明治34年(1901年)に建てられた由緒ある赤瓦の古民家だ。度重なる台風や先の大戦による戦火を奇跡的に免れ、山原の地に生き残り続けたこの木造建築は、国の登録有形文化財にも指定されている。
かつて荒廃の危機に瀕していた生家を後世に残すべく立ち上がった創業家が、屋号である百年古家 大家の名を掲げ、修復と移築を重ねて現在の壮大な姿へと甦らせた。南向きに開かれた雨端(あまはじ)と呼ばれる深い軒、風を通す開放的な間取り、そして黒光りする梁。単なる食事処の枠組みを越え、ここは琉球の生活史そのものを体感できる生きた博物館としての風格を放っている。