総裁と総理では、行使できる権限の範囲や選出方法、任期規定が大きく異なります。実務上の主な相違点は以下の通りです。
① 権限の違い
国家の命運を左右する強力な法的権限を持つのは総理大臣です。憲法7条に基づく衆議院の解散権、閣僚(国務大臣)を任命・罷免する権限、自衛隊の最高指揮監督権、外交関係の処理権などは、総理にのみ認められた専権事項です。対して総裁の権限は、幹事長や政調会長といった自民党役員の人事権や、国政選挙における党公認候補の決定権など、党内組織統治に限定されます。
② 選出方法の違い
自民党総裁選は、自民党所属の国会議員票と全国の党員・党友票によって争われます。一般の有権者は党員でない限り投票に関わることができません。一方の総理大臣は、国民から選出された衆参の国会議員による首班指名選挙を経て、皇居での親任式(天皇陛下による任命)を経て正式に就任します。
③ 任期ルールの違い
自民党総裁の任期は党規約により「1期3年・連続3期まで(最長9年)」と制限が設けられています。これに対し、内閣総理大臣の任期には憲法上の制限がありません。国会からの信任(衆議院の多数派維持)がある限り、何年でも継続して務めることが制度上は可能です。