なぜ「いのちの名前」は心震わすのか?千と千尋の名曲に宿る誕生秘話

なぜ「いのちの名前」は心震わすのか?千と千尋の名曲に宿る誕生秘話

なぜ「いのちの名前」は心震わすのか?千と千尋の名曲に宿る誕生秘話について詳しく解説いたします。専門家の見解をご確認ください。

『千と千尋の神隠し』の音楽を語る上で、避けて通れないのが「あの夏へ(One Summer's Day)」と「いのちの名前」の密接な関係性です。多くの映画ファンが「映画のクライマックスで歌声が響いていた」と記憶していますが、実は映画本編の劇中でヴォーカル版の「いのちの名前」が流れるシーンは一度も存在しません。

映画のオープニングを飾るインストゥルメンタル楽曲「あの夏へ」は、宮崎駿監督が提示したイメージ画とシナリオ草案をもとに、久石譲がピアノの単音を基調として構築したメインテーマです。これに対して「いのちの名前」は、映画の主題歌「いつも何度でも」を手がけた木村弓の歌唱曲として制作され、シングルCDのカップリング曲(実質的な両A面扱い)として2001年7月18日に徳間ジャパンコミュニケーションズよりリリースされました。

作詞を担当したのは「いつも何度でも」の作詞でも知られる詩人・覚和歌子です。久石譲が紡いだインストゥルメンタルの哀愁に満ちたメロディに、覚和歌子が言葉をあてはめることで、物語の裏側に流れる「失われた記憶と自己の再生」という重層的なテーマが具現化しました。映画のサウンドトラックという枠組みを超え、独立したポップス・歌曲として完結した奇跡的な誕生プロセスを持っています。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。