班田収授の法の仕組みと崩壊理由|口分田から墾田永年私財法まで解説

班田収授の法の仕組みと崩壊理由|口分田から墾田永年私財法まで解説

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班田収授の法において、支給される口分田の面積は身分や性別によって明確に差別化されていました。古代の面積単位である「段(たん)」は現在の約1,200平方メートル(約360坪)に相当し、「町(ちょう)」はその10倍(10段)です。

当時の良民男子に支給された2段(約2,400平方メートル)は、標準的な成人1人が1年間に消費する米を自給し、一定の税を納めるのにぎりぎり足りる計算で設計されていました。しかし、支給基準には身分秩序が厳格に反映されていました。

身分・区分口分田の支給面積課税対象(租庸調・雑徭・兵役)制度上の位置づけ・特記事項良民・男子(自由民)2段(約2,400㎡)すべて課税(正丁・次丁など年齢別)国家財政と軍事力の最大基盤良民・女子(自由民)1段120歩(男子の3分の2/約1,600㎡)租のみ(庸・調・雑徭・兵役は原則免除)労働・兵役負担がないため偽籍の温床に公奴婢・官戸(国の奴隷層)良民と同額(男子2段/女子1段120歩)国家直轄労働に従事公的使役に服するため良民同等の給付私奴婢(貴族・豪族の私有奴隷)良民の3分の1(男子約800㎡/女子約530㎡)所有主が租を代理納付最低限の生活維持分のみ配分

口分田の給付と引き換えに、農民には極めて重い税体系が課されました。これが「租・庸・調」と各種の労役です。

  • 租(そ):田の面積に応じて稲を納める税。口分田1段につき「2束2把(約3%の税率)」と、税率自体は比較的穏当でした。
  • 庸(よう):都での年間10日間の労役(歳役)の代わりに、布(麻布)や米を都へ納める税。
  • 調(ちょう):絹・糸・塩・海産物・鉄など、地方ごとの特産品を現物で納める税。
  • 雑徭(ぞうよう):国司(地方官)の命令により、道路や水路の工事など年間最大60日間無償で働かされる地方労役。
  • 兵役(防人・衛士):成年男子の3〜4人に1人が徴兵され、九州沿岸の警備(防人=任期3年)や都の警護(衛士=任期1年)に就く。往復の交通費や武器・食料はすべて自弁でした。

この税制の最大の問題点は、「庸・調・雑徭・兵役」という過酷な負担が、ほぼ成人男性(正丁)のみに集中していた点です。さらに、都へ特産品を運ぶ「運脚(うんきゃく)」の労力と道中の食費もすべて自己負担であり、都に到着する前に餓死する農民が後を絶たないほど過酷なものでした。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。