シングル『Diamonds』を語る上で絶対に外せないのが、B面(カップリング)に収録された『M』の存在です。プリプリ Diamonds M カップリングというパッケージは、日本の音楽史上で「最も贅沢なシングル盤」のひとつとして語り継がれています。
『M』の作詞を手掛けたのはドラマーの富田京子です。歌詞に描かれたリアルで痛切な失恋描写は、富田自身が当時実際に体験した失恋の痛手をノートに書き殴っていたものを、奥居香が偶然目にして「これに曲をつけよう」と提案したことから誕生しました。タイトルの「M」は実在する元恋人のイニシャルであり、手袋を買い忘れた冬の情景や、消去できない電話番号など、未練と切なさを極限まで生々しく描いた世界観は、発売後に有線放送やラジオを通じて爆発的な共感を呼びました。
表題曲の『Diamonds』がどこまでも明るく前向きな「光」を放つアンセムであるのに対し、カップリングの『M』は誰もが胸の奥に抱える喪失感に寄り添う「影」の名曲でした。この完璧なコントラストが、1枚のシングルとしての完成度を究極の次元へと押し上げたのです。