ネット上の自動車掲示板や中古車情報サイトで頻繁に見かける誤解が、「全幅1,850mm以上の3ナンバーワイドボディなら大人5人でも余裕」という言説です。これは明確な誤認です。
近年の新型車、特に欧州プレミアムブランドのSUVや最新EVは、全幅が1,900mm前後に達するモデルが珍しくありません。しかし、全幅が広い理由は「室内空間の拡大」のためだけではありません。主たる理由は、側面衝突安全基準(ポール側面衝突試験)への適合と、走行安定性(ワイドトレッド化)です。ドア内部には超高張力鋼板のサイドインパクトビームや衝撃吸収フォーム、高音質スピーカー、遮音材が幾重にも組み込まれており、ドア自体の厚みは一昔前の車の1.5倍近くに達しています。
その結果、「外寸は1,900mmあるのに、室内幅(内張りの間の寸法)を測ってみると1,520mm程度しかない」という逆転現象が普通に起こります。外見の堂々たるサイズ感に騙されて購入し、いざ同乗者を乗せてみると「以前乗っていた5ナンバーミニバンよりも窮屈に感じる」と後悔するユーザーが続出する背景には、このドア厚とキャビンスペースの乖離があります。