「昨日まで元気だったトウモロコシの下葉が、なぜか一斉に黄色くなってきた」「葉先が茶色くチリチリに枯れて広がっている」――菜園現場から毎年寄せられる悲鳴の多くは、葉の変色パターンを正しく読み解くことで即座に原因を突き止められる。トウモロコシの葉が黄色くなる・枯れる現象には、明確な生理学的理由が存在する。
最も頻繁に見られるのが、肥料不足による下葉の変色と追肥の遅れである。トウモロコシは生育旺盛なイネ科作物であり、草丈が膝の高さ(約50cm・本葉6〜8枚)を超える頃から急激に窒素を消費する。土壌中の窒素が枯渇すると、植物体は生き残りをかけて古い下葉に含まれる窒素を分解し、これから伸びる新しい上部の成長点へと再移動させる。この移動現象こそが、下葉の葉脈に沿って中心部から外側へ「V字型」に黄色く色あせていく決定的な理由だ。これを単なる老化現象と見過ごして放置すると、雄穂や雌穂の分化が抑制され、実が太らない「不稔」や先端の粒が詰まらない「先端不稔」を招く。
一方、葉の先端から縁にかけて外側から茶褐色に枯れ込んでくる場合は「カリウム欠乏」が疑われる。カリウムは細胞内の水分浸透圧を保つ調整弁の役割を果たすため、これが不足すると強烈な直射日光に耐えきれず、葉先が脱水症状を起こして壊死に至る。
さらに見逃せないのが、トウモロコシの葉が丸まる原因と水やりの不整合だ。晴天の昼間に葉がネギのようにキュッと内側に巻き上がるのは、強烈な蒸散から身を守るための気孔閉鎖反応である。夕方や早朝に元の平らな葉に戻っているなら生理的な防衛反応で済むが、朝の時点で葉が巻き上がったままの場合は、土壌の極端な乾燥、もしくは逆に梅雨期の排水不良による「根腐れ」で根の吸水機能が完全にストップしている危険信号だ。マルチ下の土壌水分を直接手で触れて確認し、乾燥していれば朝の涼しい時間帯に畝間へたっぷり注水する判断が迫られる。