「焼き菓子・ガトーの真価は、小麦粉とバターが織りなす層の均一さで決まります」。そう語るシェフパティシエの手元には、一切の迷いがない。全日本洋菓子工業会でも模範とされる徹底した温度管理のもと、何層にも折り重ねられたパイ生地は、焼成時に理想的な膨らみを見せる。
看板商品である伝統の焼き菓子は、ギフト需要の高さも相まって入手困難な状況が続く。地方発送の予約枠も開始直後に埋まるほどの過熱ぶりだが、職人たちは大量生産に舵を切る気配を一切見せない。「手作りの限界を超えた瞬間、エミリーの味ではなくなる」という信念がそこにある。