迷宮の十字路が最高傑作と評される理由と平次の初恋の真相

迷宮の十字路が最高傑作と評される理由と平次の初恋の真相

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本作のミステリーの骨格を成すのが、古美術品を狙う盗賊団「源氏蛍」のメンバーが次々と惨殺された連続殺人事件です。義経の家来の名で呼び合っていた仲間たちを殺害した犯人の動機は、山能寺から盗み出した秘仏「薬師如来像」の独占と、自らの野望の実現でした。

事件の首謀者であった西条大河(武蔵坊弁慶)は、盗んだ仏像を密売して得た巨額の資金をもとに、自身が理想とする新しい剣術流派の道場を立ち上げようと企んでいました。源氏蛍の頭領であった義経(吉衛)が病死したことを契機に、仏像の隠し場所を示す暗号絵を独占するため、仲間たちを容赦なく手にかけていったのです。

西条は古美術店を営む桜正造、能役者の水尾春太郎、芸妓の千賀鈴らを巧みに操り、自身は義経に仕える弁慶を名乗りながら、内心では義経を激しく憎悪していました。「弁慶は義経の引き立て役にすぎない」という歪んだコンプレックスが犯行の引き金となっており、義経と弁慶の歴史的伝説を現代の嫉妬と野心に反転させた脚本の妙が光ります。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。