ネット上の情報では「退職金からも容赦なく税金が引かれて手取りが激減する」といった不安を煽る書き込みが散見されますが、これは勤続10年の現場においては重大な誤解です。日本の税制では、退職所得に対して極めて手厚い税制優遇が設けられています。
税務上の退職所得控除計算は、勤続年数によって明確な算式が定められています。勤続年数が20年以下の期間については「1年あたり40万円」が控除されるため、勤続10年(端数月は1年に切り上げ)の場合の退職所得控除額は次の通りとなります。
退職所得控除額 = 40万円 × 勤続年数(10年) = 400万円
退職所得課税の計算式は「(退職金額 − 退職所得控除額)× 1/2」です。つまり、勤続10年の退職金税金計算において、支給総額が400万円以下であれば課税対象となる退職所得はゼロになります。勤続10年の相場である100万〜300万円台の退職金であれば、所得税も住民税も一切引かれません。会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば源泉徴収も発生しないため、勤続10年の退職金手取りは「額面金額=手取り額」となるのが税制上の真実です。
むしろ税金以上に警戒すべきは、勤続10年の退職金がもらえない理由です。厚生労働省の就労条件総合調査によると、日本全国の企業のうち退職金制度なしの割合は約20%〜25%に達しており、特に従業員30人未満の小規模事業者では3割近くの企業で退職金制度自体が存在しません。「10年働けば退職金が出るのは当たり前」という思い込みは危険であり、労働条件通知書や退職金規程の有無を必ず照合しなければなりません。