「せっかく取り付けたのに、5分で指でつまんで外してしまった」という悩みは、育児コミュニティやSNSで後を絶ちません。実は、赤ちゃんがコンセントカバーを外す理由には、乳幼児期特有の発達心理と身体機能の急速な進化が深く関わっています。
小児発達学の見地から見ると、生後8ヶ月から10ヶ月頃にかけて乳幼児は親指と人差し指を使って小さな物体をつまむ「ピンセット把持(pincer grasp)」を習得します。床からわずか20〜30センチメートルの高さにある壁面コンセントは、ハイハイや座り込み姿勢の赤ちゃんにとって視界の真正面に位置します。そこに「いつもと違う突起物」が取り付けられれば、探索反射の標的となるのは必然と言えます。
さらに見逃せないのが大人の動作模倣です。スマートフォンや掃除機の充電器を親が抜き差しする所作を、子どもは驚くほど精緻に観察しています。「穴に差し込み、引っ張ると取れる」という因果関係を学習した子どもにとって、単純な差し込み型キャップを取り外す動作は、パズルを解くような達成感を伴う知育行動になってしまうという皮肉な現実があります。