臨床現場における12誘導心電図の記録は、単なる作業ではなく患者の苦痛や羞恥心に直結する看護ケアそのものです。医療事故や測定エラーを防ぐための実践的ポイントを整理します。
測定前・測定中の看護ケア手順
- インフォームドコンセントと環境調整:「心臓の電気の流れを記録する安全な検査で、痛みはありません」と説明し、カーテンを閉めて露出を最小限に抑えます。
- 安静と体位保持:原則はベッド上仰臥位。リラックスを促し、両手足の力を抜いてもらいます。寒さによる震え(シバリング)は筋電図混入の原因となるため、バスタオル等で保温します。
- 電極装着部位の清拭:皮脂、汗、角質、塗布薬(軟膏など)は接触抵抗を高めるため、アルコール綿や専用の導電紙でしっかり清拭・乾燥させてから貼付します。
よくあるアーチファクト(雑音)の識別とトラブルシューティング
現場で波形が乱れた際、機械の故障を疑う前に以下の3大雑音を識別・対処することが求められます。
- 筋電図(細かく不規則なギザギザ波):患者の緊張、シバリング、体動が原因。声かけでリラックスさせ、保温を行う。
- 交流障害(ハム・規則正しい50/60Hzの細かい波):周囲の電子機器(輸液ポンプ、ベッドの電源コード、アース不良)が原因。コンセントの配置を見直し、電極の密着度を確認する。
- 基線の動揺(波形全体が上下に大きくうねる):大きな呼吸運動や電極コードの引っ張られが原因。腹式呼吸を避け浅い呼吸を指示し、コードにゆとりを持たせる。