喉の奥、口蓋扁桃(扁桃腺)の表面には「陰窩(いんか)」と呼ばれる無数の微細な窪みが存在する。この窪みは外界から侵入するウイルスや細菌を捕獲し、免疫応答を発動させる防衛拠点だ。侵入した病原体と戦い終えた白血球の死骸、剥がれ落ちた粘膜上皮、そして口腔内の食べかす。これらが陰窩の中で凝縮・石灰化して生まれる白黄色の小塊こそが、一般に「臭い玉」と呼ばれる膿栓(臭い玉)である。
強烈な不快臭の正体は、細菌がタンパク質を分解する際に生じる揮発性硫黄化合物(VSC)だ。硫化水素やメチルメルカプタンといった物質が凝縮されており、わずか数ミリの塊であっても強烈な刺激臭を放つ。自覚のないまま会話時の呼気に混じり、対人関係に影を落とす口臭症(Halitosis)の主要因としても臨床現場で問題視されている。