わずか5話のミニシリーズでありながら、全米・全欧の批評家を沈黙させたのが『チェルノブイリ』だ。1986年に旧ソ連で起きた未曾有の原子力発電所事故。その舞台裏で何が起きていたのかを、徹底した考証と冷徹なカメラワークで炙り出した。
プロパガンダと保身に走る官僚組織の腐敗、放射線という見えない恐怖に立ち向かった名もなき作業員や消防士たちの献身。劇判を極力排し、ガイガーカウンターの無機質なクリック音だけで心拍数を跳ね上げる演出は圧巻の一言に尽きる。真実を隠蔽するコストとは何なのか。現代を生きる私たちに向けられた刃のような警告作だ。