多くのパワーピッチャーが陥りがちな四死球による自滅。しかし、マルティネスにはその弱点が一切見当たらない。球威もさることながら、彼の真の恐ろしさはコースを寸分違わず突く「コマンド能力(狙った場所へ投げる技術)」の高さにある。
ストレートとスプリットに加えて、カウントを取るためのスライダーやカットボールの精度も極めて高い。カウントを悪くすることなく常に優位に立ち、打者に狙い球を絞らせない配球が可能だ。捕手の出すサインに対して首を振る場面が少ないのも、どの球種でも制球できる自負があるからに他ならない。
リードした場面で彼がマウンドに上がれば、試合の勝敗は事実上決したも同然だ。「8回までにリードを奪わなければ勝ち目はない」という心理的プレッシャーを相手チーム全体に与え続けること自体が、マルティネスという投手が持つ隠れたアドバンテージと言える。