臨床精神医学において、自己愛性パーソナリティ障害の特徴は「肥大した自己顕示欲」「共感性の著しい欠如」「他者を自分の道具として扱う搾取性」に集約されます。彼らは内面に極度に脆く傷つきやすい自我を抱えており、それを防衛するために他者からの賞賛、服従、あるいは恐れといった他者反応(自己愛サプライ)を絶え間なく摂取し続けなければ精神の安定を保てません。
壮年期までは、知性、容姿、社会的地位、営業成績などの武器を活用して他者を魅了し、あるいは巧妙なマニピュレーション(心理操作)によって支配関係を築くことができます。しかし、加齢とともに状況は一変します。定年退職による肩書の喪失、体力の衰え、外見の変化によって、かつて他者を従わせていた「力」が削ぎ落とされるからです。
自己愛性人格障害の孤立の理由は極めて構造的です。対等な愛情や信頼に基づいた情緒的絆を生涯築いてこなかったため、利用価値や威圧感が失われた途端、周囲の人々は潮が引くように去っていきます。かつて見下していた相手からも相手にされなくなり、最終的には誰からも関心を持たれない絶対的な孤独のなかに取り残されることになります。