「乾かないと噂のカラコン」としてSNSやレビューサイトで話題を集める背景には、レンズ素材の構造的なパラダイムシフトがあります。従来のカラコンの多くに用いられてきた「HEMA(ヘマ)素材」は、レンズに含まれる水分を介してのみ角膜へ酸素を届ける仕組みでした。そのため、レンズの水分が蒸発する夕方以降になると角膜が酸素不足に陥り、血管が拡張して目立つ「酸欠による充血」や深刻な乾きを引き起こしていたのです。
対してシリコンハイドロゲル素材は、シリコーンネットワークそのものが直接酸素を通す性質を持っています。水分量に依存せずとも、素材そのものが網目状に酸素を透過させるため、シリコンハイドロゲルにおける酸素透過率(Dk/L値)は従来型の約60〜130以上という高水準に達します。これにより、長時間の装用でも角膜上皮の呼吸が妨げられにくく、ドライアイに悩む層が実感する「夕方の目の軽さ」へと直結しています。
さらに、従来の高含水レンズは「レンズ自体の水分を保つために涙を吸い上げてしまう」という弱点がありましたが、シリコンハイドロゲルは含水率を適度(30〜40%前後)に抑えつつ酸素を運べるため、涙液の蒸発を最小限に抑える低含水レンズのメリットと高酸素供給を同時に享受できる点が決定的な違いです。