なぜ短時間の外出ならつけっぱなしが得になるケースが生じるのでしょうか。その理由は、現代の家庭用空調の心臓部であるインバーターエアコンの仕組みにあります。
エアコンの消費電力の大半を占めるのは、室外機の中に搭載されている「コンプレッサー(圧縮機)」の稼働です。エアコンは、部屋が冷え切った(あるいは暖まった)状態を維持するだけなら、車のアイドリングのように極めて少ない電力で稼働し続けます。しかし、部屋が暑い状態でスイッチを入れると、設定温度まで一気に空気を冷やそうとコンプレッサーがフル稼働(最大出力運転)を行います。
この起動時の消費電力は、安定運転時の数倍から10倍近くに跳ね上がります。30分程度部屋を空けてエアコンを切ると、その間に室温が外気温に近づき、帰宅後に再びフル稼働を強いることになります。つまり、電源を切っていた30分間の節電分よりも、帰宅後の再稼働で消費する突入電力のほうが大きくなってしまうのです。これが「短時間ならつけっぱなしが得」とされる物理的な理由です。